木の香り

香り

香りを感じる感覚=嗅覚は、視覚や聴覚、味覚など五感の中で 、最も速く感じ取った情報を脳へ伝達するのだそうです。
ほんのわずかな香りでも、一瞬のうちに「いい香り」と快適に感じたり、反対に「気になる臭い」と不快に感じることもあります。
たとえば、玄関のドアを開けた瞬間、どんな香りがするかで、そのお宅の印象が決まってしまうことだってあるかもしれません。

嗅覚と香り

昔、無垢材を使った家づくりが主流だった頃、建てたばかりの家には、新鮮な木の香りがしていました。 すがすがしいような安らぐような、さわやかな木の香り。 現在は、合板、集成材が多く使われ、新築といえばツンとするイメージが強いのではないでしょうか。
日本の家は、「香り」と表現していたのに、今は「におい」に変わってしまったのは、寂しい気もしま


細くとがった葉の針葉樹

木の香り

さて、木のにおいは、みなさん一様に、「香り」と表現されます。
「木の香り」と呼ぶのですから、「快適なにおい」なのでしょう。
香りを持つ木は、ほとんどが針葉樹です。
針葉樹とは、針のように細くとがった葉をもつ木で、ヒノキ、ヒバ、スギ、マツなどが、その代表です。


香りを楽しむ

無垢材を使った家が減り、木の香りのする家は減っていますが、木の香りを楽しむ商品は、たくさんあります。
芳香剤・入浴剤・アロマオイルなど、多くの商品に木の香り成分が使われています。

香りを楽しむグッズ


森林浴効果をもたらす香り

木の香りの効用

木の香りは、ご存じの通り、フィトンチッドという成分が森林浴効果をもたらし、リラックス、リフレッシュ作用があります。
最近は、人への良い効果が他にも多くある事が、わかってきました。
代表的な、木の香りの効用を挙げると、「血圧を下げる」、「集中力があがる」、「殺菌効果」などがあります。


血圧を下げる

木の香りが「いい香り」「安らぐ」「自然な感じ」と、感じると、脳の血流が下がり、血圧が下がります。
アロマテラピーなどの植物の香りでリラックスすることと同じような効果です。
通常、香りは好みがありますから人によっては不快な臭いと感じることもありますし、不快感は血圧を上げてしまいますが、不思議なことに、 木の香りは、不快と感じる人も、血圧は上がらないそうです。


集中力が上がる

木の香りを嗅ぐと気持ちを落着かせるだけではなく、脳を刺激して集中力が上がります。
リラックスした状態になるのに、脳は活発になるので、勉強や仕事に集中できるのだそうです。
気持ちはゆったり。脳は、回転しているのですから、 ストレスを感じることなく、集中できるという、理想的な状態です。 実際に、実験をしたところ、作業効率が格段に上がったそうです。


殺菌効果

例えば、青森ヒバは、抗菌力、殺虫力にすぐれています。
青森ヒバの産地、青森県では、土台に、青森ヒバを使う住宅が多くありますが、殺蟻用消毒が不用とまでいわれています。
実際に、ヒノキ、スギ、ベイマツなど8種類の木に、青コウジカビの胞子を塗布して、抗カビ性の実験を10日間行ったところ、青森ヒバの周囲にはカビが繁殖しなかったという結果が出ています。


気をつけたいこと

香りは好みがありますから、まずはそれぞれの木の香りを確かめてみることをおすすめします。
実際、木材を扱っているスタッフの中には、青森ヒバが、いい香りと感じる人もいれば、苦手と感じる人もいます。
また、住宅や家具に使う場合、香りを放てる塗料を選ぶことも大切です。木の表面をコーティングしてしまうウレタン系の塗料は木の香りを閉じ込めてしまうだけではなく、調湿性や、自然な光沢、さらりとした感触も失ってしまいます。
香りを持つ針葉樹は、広葉樹にくらべ、柔らかく、キズが付きやすいです。わずかなキズは暮らしの足跡と割り切るくらいの気持ちが必要かもしれません。 キズは作りたくないという方には、キズがつきにくい天井や腰壁など手の届きにくい場所に、部分使いをおすすめします。

香りを持つ針葉樹
上から、ヒノキ、ヒバ
シロスギ、エゾマツ、
トドマツ、アカマツ

良い香りは、ほのかに香るくらいが安らげるもの。 ほのかな香りがイメージを膨らませ、安らぎやおだやかな気持ちを導いてくれます。
生活の中で使う、洗剤やヘアケア剤、調理時の匂いなど様々な香りが混ざり合うと、不快に感じることも。 適度に空気が流れる換気を考え、間取や家具の配置に注意しながら、プランを考えればきれいな空気と木の香りですがすがしい空間がキープできます。
ドアを開けた瞬間・・・ほのかに自然の香りがする毎日は、きっと安らぎやここち良さをもたらしてくれます。
木の香りの良さを、暮らしに活かしてみませんか?

参考文献/
財団法人 日本木材総合情報センター 【木net】 http://www.jawic.or.jp/
編集者代表 岡野健 木材居住環境ハンドブック 朝倉書店