木心庵ブログ ~河野 由樹子が想ふ事~

「榀(シナ)の木と、科(シナ)の布」

木心庵は北海道札幌市にて1952年に創業した北海道随一の銘木を揃えた木材の専門店です。

シナノキは、加工性のよさから木工細工などに、控えめな表情からベニヤなどの合板に適している木材です。

私は木材としてのシナノキしか知りませんでしたが、この木の樹皮繊維はきわめて強く、人々は古くから布や縄、畳糸などを作ってきたそうです。

 

科布(しなふ)という帯地があります。

木の皮をはいで、灰汁で煮てから薄く裂き、出来上がった糸を丹念に織り上げていきます。
皮を割くところから1反織り上がるまで一体どのくらいの時間と手間がかかっていたのでしょう。

そう思いながらこの織物を眺めていくと、繊維1本1本の表情の豊かさも見えてきて、いつのまにかその素朴さに惹かれていくのです。

 

 

 

『もともとは木なんだわ』と思わせるようなゴワっとやや硬い感じの繊維は、通気性がよく、水濡れにも強いそうです。

 

家具や道具に限らず、衣類にも使われるシナノキは、パッと見はおとなしい木肌だけれど用途は幅広く、人々の暮らしにそっと寄り添ってくれる優しい木。

 

・・・またひとつ好きな木が増えました。

 

背中をすぅっと風が抜けていくような涼しげな科布の帯で、札幌の短い夏を楽しんでみようと思います。